医療従事者が仕事をしていると、緊急を要する場面に遭遇することも少なくない。介護職も例外ではなく、疾患を持っていない高齢者などでも、急な体調の変化に対応を迫られることがある。特に食事中に誤嚥することは多く、きちんと咀嚼できるような人でも油断せず見守る必要がある。
老人ホームや、デイサービスなどの施設では看護師が常駐しているので、緊急の処置や対応は看護師が行う。けれど、介護士も高齢者のわずかな体調の変化も見逃さず、適切な判断をして看護師に報告するなどの対処をしなければならない。高齢者は重篤な症状であっても、あまり変化がないように見える場合がある。昼夜逆転になって日中はウトウト居眠りしがちな高齢者は、脳出血や脳梗塞などで意識状態が悪化しても気づかれないということも起こりうる。「いつもと違う」という変化に気づくには「いつもの状態を観察」しておくことが重要だ。
しかし、介護者にとって最も不安なのは、夜間の勤務帯ではないだろうか。ほとんどの老人施設では、自宅待機の看護師が電話対応をするが、場合によっては救急搬送ということもありうる。救命士に正確な情報を提供し、救急車がくるまでの応急処置や家族への連絡など迅速な行動をしなければならない。夜間ということもあって他の入居者へも配慮も必要だ。
夜間の介護は高齢者のささいな訴えにも注意し、観察を怠らないことと、寝ている間に脱水や熱中症にならないように、室温と湿度に気をつけることが大切である。ちょっとした注意を払う事で互いに不安を解消する方法ともなるだろう。